小説「アイス」

2025年4月14日月曜日

イラスト 小説

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小説「アイス」

(この作品はBL表現・少年同士の恋愛描写が含まれます)


1970年8月、蝉が鳴く。

敦はその暑さに耐えきれず駄菓子屋でアイスを買った。

利夫を待っている。



敦と利夫は幼い頃から気付けばずっと一緒だった。

もう15歳になる。

幼い頃からの付き合いは今や少し大きくなりすぎた気がする。


ふとした時手を握ったり、肩を組んだり。

仲が良いといえばそれまでだが、敦は利夫に触れる度胸の奥底がギュっとした。


「利夫も同じ気持ちなのだろうか。」


それは声に出さないでいた。



5分後、利夫は駄菓子屋の前に走ってやってきた。

「ごめん、待たせた。」


悪びれもしない飄々とした姿も利夫らしいと思い

敦は笑みをこぼす。


「暑いね」


5分前買ったアイスはまだ残っている。

夏の暑さに溶け出して、しずくがポタポタ滴っていた。


「アイス、いいな」

「ラムネ味」


ふいにかじりつこうとする利夫。

しかしそのままアイスは地面に落ちた。


蝉の声。しばし土に落ちたアイスを見つめる二人。

「ああ、暑いもんね。」


「残念だな」

じっと見つめあう二人の距離は意外にとても近かった。



そしてそのまま、突如として

敦の胸の奥底の「ギュッ」とした感覚が蘇る。


目の前が真っ白で、蝉の声がして、でも何も聞こえない



利夫は敦と唇を重ねていた。


いつも手を触れる時と同じ、

違う。

触れてはいけないもの同士が触れ合い

知ってはいけない事をしているような背徳感。



冷たい、アイスの味

彼に しただろうか。



仲良しと言ってしまえばそれまでだが、

もう僕たちは引き返せない。




LINK:

予告編(イラストyoutubeshorts動画)

https://youtube.com/shorts/V-3pWzWYYbg?feature=share



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