小説「アイス」
(この作品はBL表現・少年同士の恋愛描写が含まれます)
敦はその暑さに耐えきれず駄菓子屋でアイスを買った。
利夫を待っている。
*
敦と利夫は幼い頃から気付けばずっと一緒だった。
もう15歳になる。
幼い頃からの付き合いは今や少し大きくなりすぎた気がする。
ふとした時手を握ったり、肩を組んだり。
仲が良いといえばそれまでだが、敦は利夫に触れる度胸の奥底がギュっとした。
「利夫も同じ気持ちなのだろうか。」
それは声に出さないでいた。
*
5分後、利夫は駄菓子屋の前に走ってやってきた。
「ごめん、待たせた。」
悪びれもしない飄々とした姿も利夫らしいと思い
敦は笑みをこぼす。
「暑いね」
5分前買ったアイスはまだ残っている。
夏の暑さに溶け出して、しずくがポタポタ滴っていた。
「アイス、いいな」
「ラムネ味」
ふいにかじりつこうとする利夫。
しかしそのままアイスは地面に落ちた。
蝉の声。しばし土に落ちたアイスを見つめる二人。
「ああ、暑いもんね。」
「残念だな」
じっと見つめあう二人の距離は意外にとても近かった。
そしてそのまま、突如として
敦の胸の奥底の「ギュッ」とした感覚が蘇る。
目の前が真っ白で、蝉の声がして、でも何も聞こえない
利夫は敦と唇を重ねていた。
いつも手を触れる時と同じ、
違う。
触れてはいけないもの同士が触れ合い
知ってはいけない事をしているような背徳感。
冷たい、アイスの味
彼に しただろうか。
仲良しと言ってしまえばそれまでだが、
もう僕たちは引き返せない。
LINK:
予告編(イラストyoutubeshorts動画)
https://youtube.com/shorts/V-3pWzWYYbg?feature=share